かわる(2)
げんすけ
2020/06/28 09:17
「かわる」という言葉にこだわってみたいと思います。一日に一度は口にしたり書いたりしそうな言葉であり、さまざまな意味や記憶やイメージを呼び起こしてくれる言葉です。「かわる」という言葉を言い換えるとすれば、どんな言葉が浮かびますか? 「変わる」「代わる」「換わる」「替わる」とワープロソフトを用いて変換すると、意味が具体性を帯び、イメージが膨らんできますね。それは
*「かわる」がわかってくる
からです。「かわる」が「わかる」とは、言葉の遊びです。もっと遊んでみましょう。
*わかる。分かる。判る。解る。別る。
こうすると、「わかる」がわかってきませんか?「わける」でも、できそうです。
*わける。分ける。別ける。
さらに、「わける」もわけることができそうです。駄洒落となるのを覚悟でもっと遊んでみます。
*わける。沸ける。湧ける。涌ける。
わけがわからないですよね。せっかくここまで来たんですから、さらにエスカレートさせてみるのもいいでしょう。
*わく。沸く。湧く。涌く。枠。惑。和久。ワク。わくわく。waku。WAKU。
突拍子もないものまで出てきて、並列されています。「かわる」が「わかる」、「わかる」が「わかる」、「わかる」が「かわる」、さらに「わける」を「わける」ことで「わく」がわいて、わくわくしてきた、という感じでしょうか。
駄洒落やオヤジギャクと呼ばれているものは、こういう脈絡を欠いた言葉の連なりを意識的に、あるいは無意識のうちに頭に浮かべながら、作られるのかもしれません。この種の作業に、わくわくする人がいます。ここにもいます。あなたは、どうですか? くだらない? そう思われる方のほうが、多いのではないでしょうか。それはそれで、よくわかりますけど。
*
いずれにせよ、
*「かわる」という言葉の意味やイメージが、漢字を当てることによって「わかる」ようになる
という過程は、駄洒落のようでありながら、ある程度「言えてる」ことだと考えられます。ちょっと理屈をつけたくなりましたので、やってみます。
「かわる」という「多重的な=多層的な=多義的な=ぐちゃぐちゃした」「話し言葉=音声」、
および、
ひらがなで表記された「言葉=書き言葉=文字」、
つまり、
「とりとめのない記号=まぼろし」
が、
「わかる」という「多重的=多層的=多義的=ぐちゃぐちゃした」「話し言葉=音声」、
および、
ひらがなで表記された「言葉=書き言葉=文字」、
つまり、
「とりとめのない記号=まぼろし」
によって、
わけられる=分けられる=分類される=分別される=区別される=整理される=理解される=意識される=知覚される
ということになります。
そのさいに、
大きな役割を果たすのが、漢字=感じ=感字=かつての中国語である、
と思われます。
簡単に言えば、
*ひらがなが漢字の助けを借りて意味がとりやすくなる
という一例です。こう書くと、つい「もしも」と考えてしまいます。もしも、日本語が歴史的経緯によりひらがなだけで表記される言語であったとしたら、日本と日本語はどうなっていたでしょう? この疑問文の「ひらがな」を「ローマ字」に置き換えても、いいでしょう。
実際、かつて日本語をローマ字表記にしようとする運動があったと聞いた覚えがあります。そう考えると、朝鮮半島におけるハングルの使用、そして中国での表記のアルファベット化運動も、頭に浮かびます。
上述の日本語についての「もしも」について考えると、思わずうなり声が出てきて、キーボードを叩く指が止まってしまいます。
※この文章は、かつてのブログ記事に加筆したものです。https://puboo.jp/users/renhoshino77
#エッセイ
#日本語