うつせみのたわごと -2-
星野廉
2020/09/23 13:34
まことのかたこと。かたことのまこと。
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まことちゃんがかたことをいう。からだをゆらすたびに、かたことかたことと、はこのなかのあめだまがなる。たまがころがる。かたり、かたり、こと、こと。
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かたことのからことばで、まことのことをのべようとする。まことにもどかしい。かといって、くにのことばで、まことのことをかたるのも、もどかしい。まことは、まことにまことなのか。そう、みずからにとうのがまこと、いや、かたことなのかもしれない。まことは、くちぐせ。とんでもない、くせもの。
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かたられるはなしのかたはしを、みみにし、かたはしからわすれていく。それで、すべてをきいたことにする。なんといわれたと、きかれたら、おぼろにおぼえているところをつくり、おぎない、かたればいい。それしかできないのが、みのほど。それなのに、もっとできると、ひとはおもいこんでいる。いいきかせている。
【追記 上記の戯言につづられていることばたちに身をまかせてください。どのようにも取れると思います。意味や解などありません。というか、無数にあるでしょう。そうやって、たわむれてみませんか。参考としての、ことわりをお望みの方は、グーグルで、 "うつせみのあなたに" "まこと" 、 "うつせみのくら" "揺らぎ" 、"うつせみのあなたに" "からことば" 、 "うつせみのくら" "かたる" 、という具合にダブルのキーワードで、4回検索してみてください。
そのさいには、"○○" と括弧でくくるのをお忘れならないように、ご留意願います。今、挙げた4組のキーワードを、それぞれそのままコピーペーストして検索なさるのが、てっとり早いかもしれません。ヒットするのは、長い文章が多いと思います。関係ありそうなところだけ、拾い読みしていただくだけで十分です。こんな戯事にお付き合いくださる方がいらっしゃれば、うれしいです。】
【注: 現在は「うつせみのくら」という過去のブログ記事を再録したサイトがないので、上記の検索は意味をなしません。お詫び申し上げます。】
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【解説】「こんなことを書きました(その20)」より
*「うつせみのたわごと -2-」2010-02-02 : テーマは、言葉でものごとを語ること、および、ヒトが真実・現実・事実をとらえることの不可能性です。標準的な表記に直したキーワードは、「まこと」「かたこと」「かたる・語る・騙る」です。直接書かなかったキーワードは、「蓮實重彦」です。
※この記事は、かつてのブログ記事に加筆したものです。https://puboo.jp/users/renhoshino77
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