のてぼおけと読む幸せ
げんすけ
2020/07/09 13:48
note を始めて二週間が過ぎました。てっきりブログだと思って始めたサイトですが(やっぱりブログのようですけど)、その仕組みがだんだん分かってきて興味深いです。ユーザーさんたちが、他のブログサイトとは違う気がします。全体的にクオリティの高いのが魅力ですね。(「生活と意見 2020/07/08」より)
〇
やっぱりありません。見当たらないのです。見落としがあるかもしれませんが、ウィキペディアで note を調べたところ、ブログという言葉がないみたいなんです。きのう、ここで久しぶりに日記を書いていて、note はブログなのかどうか、また気になってしまいました。いったん忘れたのですが、きのう気になったことをきょうになって思い出したので、ネット検索してみたというわけです。
note はブログなのかという疑問の結論は、面倒なので保留しますね。それより、気持ちいいことをしたいのです。note という言葉とたわむれてみます。このブログでいつもやっているように、辞書を使って遊んでみましょう。大きめの英和辞典で note を引いてみると、いろいろな意味というか訳語や、解説や、例文があって、わくわくしてきます。そのなかで、興味を引かれたものを挙げてみましょう。私は語学や言語学の専門家ではないので、孫引きするだけですけど。
*
まず、語源。
*印、しるす・書き留める。
⇒でしょうね。ふむふむ。
次に、名詞としての語義。
*メモ、記録、草稿、短いエッセイ、小論文、手記。
⇒なるほど。要するに、かきかきすることですね。めもめも。
*注意、注目、著名、重要。
⇒あら、まあ、へえー、恐れいりました。
*ある性質、雰囲気、匂い、香気。
⇒かもしだす、ふんいきってやつですね。ぷんぷん、あるいは、ほのかに、におうわけですか。
*しるし、記号、音符。
⇒はいはい、そんな意味がありましたね。音符はなかなか興味深い。「シブヤノオト」って、この意味を意識してのネーミングではじゃないでしょうか。洒落ていますね。♪渋谷♪なんて感じでしょうか。北杜夫の『あくびノオト』とか、中山千夏の『からだノート』という本を思い出しました。「あくびノオト」なんて、さすがにうまいですよね。
*鳥の鳴き声、音色、旋律。
⇒いいですねー。詩のようです。
*手形、紙幣。
⇒出ましたね。お札。要するに、お金じゃないですか。おカネのにおいがぷんぷんするってやつですね。なるほどー。言えてるわ。毒を吐きたくはないので、これ以上は言いません。察してください。
切りのいいところで名詞だけに留めます。
*
note という文字を初めて見たときのことを思い出します。単語と言うより文字です。小学生時代のある日、大学ノートを買って、翌日に持ってくるようにと、先生に言われました。次の日から、国語の時間に、大学ノートを使うようになりました。横書きではなく、縦書きに使うのです。文字を書こうとするとノートが机から手前に滑り落ちていき、すごく書きにくかったのを覚えています。書きにくいし授業が退屈なので大学ノートを閉じて、その表紙に見入りました。
NOTE BOOK(なぜか、note と book の間が少し空いていました)と大文字で書いてありました。確かローマ字を覚えたてだった私が、「のてぼおけ」と声を出して読んだところ、「ばーか、ノートブックだよ」と隣の男子が言いました。ローマ字と言えば、ローマ字表を思い出します。ローマ字の練習ノートの後ろや国語の教科書にも載っていた記憶があります。あれを眺めるのが好きでした。時間がたつのを忘れるくらい、好きでした。何しろ不思議なのです。日本語の「あいうえお」表以上に、神秘的に思われました。
a i u e o
ここまでは、まだいいのですけど、不思議なのは次の行からです。
ka ki ku ke ko
「か」が「k+a」だって? なんで? どういうこと? さらに、不思議なことがあります。
sa si(shi) su se so
ええええ???? なんで「シ」が二つなわけ? 不思議は、まだまだ続きます。
ta ti(chi) tu(tsu) te to
ha hi hu(fu) he ho
ya (i) yu (e) yo
wa (i) (u) (e) o
za zi(ji) zu ze zo
da zi(ji) zu ze zo
授業中によく口を動かしながら、密かに読んでいました。とても不思議でしたが、その違和感は同時に快感でもありました。幸せでした。「のてぼおけ」がノートブックだというのも、これまた摩訶不思議でした。後に、「のてぼおけ」が notebook だと正式に習ったとき、私は何か大切なものを無くしたように思えてなりません。知識や成長は必ずしも幸福をもたらすものではない。こんなふうに、もっともらしく言葉でまとめてしまうしかない現在の自分が、とてつもなく馬鹿に思えるときがあります。
◆
ずいぶん前でも、つい最近でもいいのですが、とにかく自分の書いた文章を受けて、その「余白」に書くという遊びをしてみようと思います。実は、以前からしたかった試みなのです。note に来て、ようやくやる気が出ました。上の作文は、「引用の織物・余白に・連歌」というマガジンに収めます。そのマガジンでは三つの形式で作文をしようと考えています。
1.引用の織物:自己引用による標本箱みたいなもの。
2.余白に:ぼけた自分の書いた文章を受けて、書く。つっこみみたいなもの。
3.連歌:ぼけ+つっこみ ⇒ ぼけ(元つっこみ)+つっこみ ⇒ ぼけ(元つっこみ)+つっこみ……の連鎖。
今回の「余白に」はいやに長い余白になりましたが、なるべく短くするつもりです。いや、やっぱり、どうなるか分かりません。あくまでも、見切り発車なのです。
#エッセイ
#note
#作文